【実体験】30代未経験の私が化学系データサイエンティストにキャリアチェンジできた理由!

キャリア

こんにちは、にっし〜です。

今回は化学メーカー技術職で将来のキャリアに不安をいただいている20代・30代の方に向けて記事を書いています。

私は新卒で大手化学メーカーに入社後、工場勤務 → 研究棟勤務 → 本社勤務を経験しましたが、自分自身専門性がないことに危機感を覚え行動し、30代で化学系データサイエンティスト転職を達成しました。データサイエンスの実務経験が無く、私の求めていた転職は決して容易ではありませんでした。そんな経験を踏まえ、私なりのキャリアチェンジの戦略をお伝えしようと思います。

一人でも多くの方のお役に立つことができれば幸いです。

著者の経歴
  • 化学系の大学院を修了
  • 新卒で大手化学メーカーに入社、9年間で工場勤務→研究棟勤務→本社勤務を経験(ジェネラリストコース)
  • 30代でデータサイエンス系の大学院を修了
  • 化学系データサイエンティストとして転職

なぜ化学系データサイエンティストを志したのか?

結論としては、今のままでは専門性となる武器が備わっておらず将来に不安を感じたからです。

新卒で化学メーカーに就職し、希望していた開発職に就くことが出来たが、理想と現実とのギャップが大きく将来のキャリアに不安を抱いている方は少なくないと思います。
私の感覚では化学メーカーで専門性が伸ばせるテーマを貰える人の方が稀で、特に若手は4M変更や既存製品の不具合改良テーマを割り当てられ、半分作業のように実験を行う日々を過ごしている方も多いのではないでしょうか。

その不安を解消したく専門性を磨けるキャリアチェンジを達成するためにガムシャラに動いた結果データサイエンティストという職業に辿り着いていますが、
皆さん全員にデータサイエンティストをお勧めするわけではありません。人には向き不向きがあります。

ただ結果として、化学系データサイエンティストの需要は今後もしばらくは上昇すると考えられ、
また化学業界内でのデータサイエンティスト人材は不足しているので、職務を通じて中長期的に専門性を磨くことができるデータサイエンティストという選択をして良かったと感じています。

【企業側のデータサイエンスに関する現状】
・DX推進を積極的に実施したい企業は年々増えている。
・企業が求めているのは化学に精通したデータサイエンティスト
・社内でもデータサイエンスに関する理解が不足気味
・社内でデータサイエンティストを教育できる環境も整っていない
・経験者採用も苦戦

企業としては開発担当者と化学的な専門知識を使って良好なコミュニケーションを取れる人材を求めているが、化学系学部出身の人はデータ分析の経験値が少ないというのが現状と言えます。これらを踏まえても、今から化学系データサイエンティストに挑戦する価値は十分にあると思います。

 

化学系データサイエンティストになる方法

未経験から化学系データサイエンティストになるには、「スキルの習得と実績作り+転職」の組み合わせが最も高確率で達成できると考えます。
スキル習得後社内異動することができれば転職は不要ですが、異動できる機会が年に1回等と限定的であることや、そのチャンスを掴むことが出来なかったら次の異動機会を待たなければならないといったことを鑑みると転職の方が圧倒的に効率が高いと言えます。社内異動はメインではなくあくまでサブシナリオとして考える方が良いでしょう。

化学系データサイエンティストに必要なスキル

化学系データサイエンティストに求められる仕事は少数データセットの分析です。
過去の実験データをうまく次の開発に活かすことがメインとなるので扱うのはビッグデータではなくディープデータになります。

ですので、まず取得すべきはスキルはテーブルデータに対する回帰分析のスキルです。そして、下記グラフの通りまず学ぶべきは少ないサンプルに対応した機械学習のスキルから習得することを意識しましょう。

Performance Comparison of Deep learning-based algorithms Vs Traditional Algorithms

引用元:Safaa Laqtib.et.al (2020), A Deep Learning Methods for Intrusion Detection Systems based Machine Learning in MANET, ResearchGate 

Python(Numpy, Pandas, matplotlib, Scikit-learn)

データ解析を行う上ではPythonの知識はマストになります。化学系のPython初学者にとっては以下の書籍で勉強すると良いと思います。

 

データの例も高分子の合成実験を想定したものなど、化学系の初学者にとってもイメージがしやすく設定で勉強しやすく、化学系データサイエンティストを目指す方であれば絶対に読んでおくべき良書です。参考書に記載されているコードを書きながら進め、わからないところがなくなるまでやりこむことを推奨します。
最低限、この本に乗っている回帰分析手法は全てマスターするようにしましょう。

統計学と数学

統計学を理解するのに数学が必要なので基本的には統計学の勉強を進める。
目標:できれば統計検定準1級。初学者の方は統計検定2級から勉強していくことを推奨します。

実績の獲得

データサイエンティストへの転職を考えている方で実務経験が無いことがハードルになっている方は多いと思います。その状況で著者が是非挑戦してほしいと思っていることは、今の仕事で得られるデータを用いて回帰分析を実施することです。化学業界に限ったことではないと思いますが、機械学習で何ができるかというアイディアが乏しいイメージがあります。ですので実務の中でKGI、KPIを設定された課題に対して回帰分析を行い、①なぜ回帰分析をしようと思ったか、②そこからどんな結果・知見が得られたか、③見つかった課題と解決方法についてPDCAを回してみることをおすすめします。そして今の自分がデータサイエンスのスキルを使用して何を達成したいか、その結果会社にどのようなメリットをもたらすことができるかをについて言語化する経験をすることが持っておくと良いです。その過程を通じて、自分にとってデータ分析を生業にすることに対する方向性についても一度考えてみるのが良いと思います。

今の仕事におけるデータ分析が難しい場合kaggleなどのコンペに参加してデータ分析の経験を積むのが良いでしょう。こちらについても同様に①なぜ回帰分析をしようと思ったか、②そこからどんな結果・知見が得られたか、③見つかった課題と解決方法についてPDCAを回すことは実施してください。

データサイエンティスト転職戦略

基本戦略としては化学業界を軸にデータ分析の仕事を募集している企業を探しましょう。実務経験が無いので、いきなり未経験業界のデータサイエンティスト転職に挑戦するのはあまりおすすめしません。私の場合、化学メーカーでの生産技術・品質管理経験を軸に、企業が求めるスキルに「データ分析・機械学習」が掲載している企業を中心に書類応募をしました。

今の会社で実績を作ることも転職をする上では大事です!

まとめ

  • 化学業界が求めているデータサイエンスは化学的専門性とデータ分析スキルの両方を有している人材であるが、そういった人材を獲得するのは難しいと言われている状況。
  • 化学系データサイエンティストはビッグデータを扱うような仕事ではなく、化学的な知識を基にサンプル数の少ないデータの解釈をする仕事。
  • 広く網羅的に勉強をする必要はなく、まずはテーブルデータセットに対する回帰分析のスキルを身に付け、さらに何かしらの形で実務経験となる成果を出すことができれば化学系データサイエンティスト転職は十分に可能であると考える。

 

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